株式交換

株式交換によるM&Aの例

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今回は、最近、株式交換によるM&A事例が出ていますのいで、
具体例として改めてみてみましょう。

平成29年3月、生産財、住宅建材、及び家庭機器の専門商社、株式会社山善(大阪市西区)が、株式交換により産業用の自動化・省力化設備メーカーの東邦工業株式会社(広島市安佐北区)の買収を発表しました。株式交換の割当比率は、1:3,907(山善の株式1株に対して、東邦工業の株式を3907株割り当てる)で、現在の東邦工業㈱の発行済み株式総数が375株ですので、375株に割当比率3,907を乗じると1,465,125株となり、㈱山善は東宝工業㈱に対して、㈱山善の新株を1,465,125株交付することになります。


株式交換による企業のM&Aは、売手オーナーに現金の代わりに買手企業の株式を供与するスキームです。そのため、買手企業にとっては資金調達の必要がないメリットがあるといわれます。

一方で、双方の会社の株式価値を公正に評価し、株式交換の割り当比率を決める必要があり、手続上の煩雑さもあるともいわれます。

ただ、この場合の株式価値の評価は、財務会計上の純資産すなわち株主持ち分を基準に算定する方法を適用することであり、その手続きとしては大変意味があると言えます。

一方、株式交換によるM&Aは買手が上場企業である場合が多くなっています。

というのは、売手側としては、買手が上場企業であれば株式の換金性も担保され、またM&Aによる大きなシナジー効果が見込まれる場合、受取った株式の価格が将来上昇する可能性もあり、その場会は譲渡価格よりも大きな利益を得られることがあるからです。

さて、今回の株式交換の割当比率ですが、発表されている数字では、山善側の純資産額が67,518百万円で発行済み株式総数が93,840,310、東邦工業の純資産額が887百万円で発行済み株式総数が887株となったいます。

その結果、一株あたりの純資産は、山善が719円、東邦工業が2,365,333円となっており、この場合の株式交換の割当比率は1:3,287となります。今回合意された割り当て比率が1:3,907ですから、双方の純資産が何らかの要因で再評価されていることになります。

純資産が再評価される要因としては、例えば減損会計が適用されて損失の償却を行う、あるいは含み資産を時価評価して益を計上したなどが考えられます。

いずれにしても、今回の買収により、山善は東邦工業に対して、山善の新株を1,465,125株交付するわけですが、買収価格としては、この1,465,125株に現在株価1,023円を乗じるものと言えるわけで、その数字は、約15億円ということになります。

東邦工業の平成28年12月期の収益状況を見ると、売上高832百万円、営業利益85百万円となっています。

減価償却費及び正味金融債務の額が不明ですが、仮に減価償却費が50百万円程度だとすると、EBITDA(営業活動によるキャッシュフロー)が135百万となり、これに正味金融債務が2億円程度あるとすると、買収価格はこのEBITDAの12.6倍になりますので、買収価格としては高い評価が付いているということになります。

 

尚、進行期については、前期において翌期の売上見込みである大型受注の製造に注力した結果として、売上高 1,100 百万円、営業利益 195 百万円と見込んでいるとのこと。

その場合、EBITDAが250百万、正味金融債務が2億円程度程度とした場合、今回の譲渡価格はEBITDAの6.8倍程度と換算されます。この進行期の事業計画が、根拠に裏付けられ理路整然と示されている場合は、このような買収価格も正当化されるということになります。あくまでも推定値は含んでいますが、考え方として参考いただければと思います。

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