KDDIグループで、Synホールディング株式会社の子会社であるSupership株式会社(東京都港区青山、代表取締役森岡康一)、アップベイダー株式会社(東京都港区青山、代表取締役佐野宏英)、株式会社Socket(東京都港区青山、代表取締役安藤祐輔)の3社は、2017年2月1日付で合併することを発表した。
存続会社はSupership社となります。
存続会社となるSupership社も、もともと株式会社スケールアウト、株式会社nanapi、株式会社ビットセラーの3社が、KDDIの傘下となり合併して生まれた会社。
3社は、以前よりKDDIが提唱するオープンインターネット戦略「Syn.」構想で連携を図ってきましたが、合併後も広告事業・インターネットサービス事業・プラットフォーム事業等の事業基盤を活かした新たな価値の提供と更なる競争力の強化を図ってきた。
今回の新たに、アップベイダー社およびSocket社と合併することにより、Supershipが掲げる「すべてが相互につながる『よりよい世界』の実現を促進し、最大規模のスマホ向けのサービス会社を目指す。
振り返ってみれば、もともとKDDI自身、2000年に第二電電、KDD、日本移動通信 が合併して生まれた会社です。その後、旧・DDIセルラー系携帯電話会社、ツーカー各社等、通信系の会社を買収して成長してきた経緯があります。
その後、2012年にはベンチャー向けの投資ファンドを立ち上げ、「Eコマース」「メディア」「O2O」「ゲーム」等のインターネットサービスを中心に、ベンチャー企業への投資を開始、これまでに30社以上に投資を行い、既にSkypeを利用したオンライン英会話教室を運営するレアジョブや、位置連動型のプッシュ通知によるASP事業を展開するアイリッジを上場させている。
一方KDDIは、ファンドを通しての出資会社をグループの傘下に取り込み、これを子会社化する動きも取り始めました。
たとえば、今回のSupershipの元となった、生活全般を取り扱う情報サイトおよび企業nanapiもその一つ。
nanapiのような情報サイトやキュレーションメディアは新たな情報媒体、広告媒体として注目を集めており、KDDIの経営資源を本格的に投入し、マーケットシェアを拡大することが一義的な目的と思われますが、「Syn.」構想のもと、他の出資会社との間で相互送客を行ったり、共同で広告事業に取り組むことによって、KDDIグループ全体の経営資源の効率的な投下を目指しているものと思われる。
このようなKDDIの動きは、M&A戦略を巧みに取り入れて成長してきたグループが繰り出す独創的ともいえるものであり、戦略的なM&A手法の一つとして今後も注目していきたい。