設備工事業界は、既に復興需要が一段落したものの、都心部でのビル需要が底堅く、またオリンピック需要にも支えられ、当面堅調な動きで推移すると思われます。しかしながら、空調・衛生設備工事を含む専門工事の内製化を狙う大手準大手の建設会社やリフォーム会社などの隣接業界からの参入による競争の激化、また深刻化する技術者・資格者の人材不足とこれに伴う人件費の高騰など、中小規模の会社にとっては、経営環境の先行きが不透明であることは否定できません。
このような経営環境の中、株式上場している空調・衛生設備工事会社の株価が現状どのようになっているのか、簡単な分析を行いました。ここでの空調・衛生設備工事会社は、オフィスビルやマンション、また公共施設の暖房・冷房や換気などの空調設備工事、給排水・汚水処理などの衛生設備工事の他、消火設備工事や、冷凍特殊管設備工事を請負う会社であり、これについて上場16社をピックアップしました。尚、分析対象会社の数を増やすために、一部電気工事の比率の高い会社も含まれます。
その結果、16社の株価純資産倍率(PBR)が平均で0.8倍、株価収益率では平均10倍となりました。現在の日経平均のPBRが1.2倍程度、PERについては13倍程度で推移していますので、空調・衛生設備工事会社においては、株価が比較的低迷していることがわかりました。特に、PBRが1倍以上となっている会社が、16社中4社しかないこと、つまり4分の3以上の会社で時価総額が純資産を割り込んでいることが判明したのは、特筆に値すると思います。